「10年経っても、古くならない」
この本の帯に書いてあるこのキャッチコピーは、まさにこの本の内容を言い当てている。
レタッチに関する本といえば、特定のソフトを使ったテクニックを紹介するハウツー本がほとんど。しかし、この本は「レタッチとは」というそもそもの本質的な話から始まっている。
昨今SNSなどでアップされている写真を見ると、アマチュアのカメラマンがアップされた作品でも、とてもキレイなレタッチが施されものをよく拝見する。一方で、過剰に彩度やコントラストを上げたことで色飽和を起こしていたり、トーンジャンプをしている写真を拝見することも多い。これは、ここ数年でスマホアプリなどで誰でも手軽にレタッチができるようにはなったものの、「レタッチの効果と影響」を詳しく教えてもらっていないために感覚で手を加えている人も多いからではないだろうか(私はそうだった)。
誤解なく言えば、色飽和している写真がダメと言いたいのではない。私は「写真は自己表現」だと考えているので、それぞれに正解はあっても、誰が見ても真実というレタッチは存在しないと思う。私が言いたいことは、写真を自分の思い描いた作品に近づけるのがレタッチならば、ちゃんとその効果や影響を知っておくに越したことはないということ。
そういう意味でこの本は、トーンカーブやレベル補正、シャープといった、様々なレタッチソフトに共通するツールの仕組みを教えてくれ、そのツールの使い方によって起こる画質劣化の理由までが分かる。
この本の冒頭には、
「その写真を、なぜレタッチするのかという目的を考え、その理由が見つからなければ、当然レタッチする必要はない。」
と書かれている。1枚の写真にのめり込み過ぎると、レタッチの終わりが見えなくなることがありがち。本書を読むと、改めて「レタッチとは」という事を考え直し作品作りを見直す良いキッカケになる。
冒頭にある「レタッチでどうすればよいのか分からない」という方やレタッチの教則本を探している方は、ゼヒ読んでみることをオススメする。
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